安岡正篤先生への手紙

平成の御代が終わろうとしております。安岡先生が「平らか成る」想いを込めて名付けて下さったこの時代。私達の努力虚しく、先生の好まざる方向に国際情勢やこの国の環境も動いた感があります。しかし同時に、先生の望まれる方向へ国の舵取りを進めようとする人々の覚醒も促されました。

先生が名付けられた後に先生は旅立たれてしまいましたが、その意志を受け継がれた方の力を借り、先生の考案された通りに命名されました。

私は先生が平成の名や昭和天皇の詔勅にたずさわられた事を長じた後に知りました。なので、先生の事は先生の旅立たれた後に知ったのです。

御著書を拝読し青年期には非常に心強い気持ちとなり腐らずにやってくることができました。また、先生が書籍の中でご紹介された菜根譚は座右の書となり、今も目の前に置いてあります。

先生の足跡を辿りたくて、嵐山にある先生の記念館へも出掛けました。そこで、なかなか手に入らない先生の御著書を何冊も買い込んでみたり、先生の影響で私淑した細井平洲先生の記念館も訪れ、嚶鳴館遺稿といった関連書籍をほとんど買い込み宅急便で自宅へ送ったこともありました。

平成という時代は私の子供時代~壮年にかけて通る時代であり、先生の足跡や御著書の影響を多大に受け、君子たらんと修養を心がけた一時代でした。

修養し君子たらんとしたものの、やはり世俗で生きていくために小人の力も必要となり、途中かそちらの勉強も重ねたり、陽明先生の五溺できではありませんが、様々な考え方を持つ人の影響を受けたりもしました。

結果、何かを成し遂げることができたのかと先生に問われれば、お答えできるような功績は未だございません。多少、身近な人々の支えとなったり、その人達が幸せに生きることができるよう汗を流したりはできたかもしれません。

そうこうしている内に、先生の残された功績の一つである平成の御代は後一時程で終わろうとしております。私の様な古い人間は、令和の御代に生を受ける子どもたち、また、表舞台で活躍する若者たちの礎となれるよう、時代の勤めに汗を流したいと思っております。平成の時代、先生が遺された書籍により私が奮起することができたように、周りの人々の精神を穏やかに生き生きとした働きをもたらせるよう私の言葉を使おうと思っております。

「市井の真人」たれるよう、我が居場所にてできる最善を行って参ることを平成の御代の終わりに令和の御代へ向けてお誓い申し上げます。

先生。

先生の精神が穏やかにあられますよう、ささやかながらお祈り申し上げます。一つの時代と、その時代の学びを授けてくださり有難うございました。

平成三十一年四月三十日

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